ハーモニックパターンとは?
ハーモニックパターンとは、カナダのグランドワークス社が開発したフィボナッチをベースとした波形解析手法です。
フィボナッチを利用した分析方法で、欧米ではかなり有名な分析方法です。
チャートがある波形を描くとき、高い確率で反発点を示すと統計で確認したとなっています。
実際にチャートで表示させてみると、グランドワークス社のいうほどの確率はありませんが、確かに反発タイミングを示すときがあります。
ハーモニックパターンでは基本的には次の考え方をします。
( 画像、および動画はゴールドナビFXより )
※画像はEURUSDチャートより
まず、各高値安値の点にXABCという名前を付けています。Dの点がターゲットとなります。
点と点の間の数値が比率の値です。
上記の図形の例では、比率の値は次のルールです。
XB 0.581 AX(A=0、X=1)に対して、ABの高さが0.581
AC 1.442 BA(B=0,A=1)に対して、BCの高さが1.442
BD 0.887 CB(C=0,B=1)に対して、CDの高さが0.887
XD 0.486 AX(A=0、X=1)に対して、ADの高さが0.486
この比率が一定の範囲に入っている場合ハーモニックパターンとして検知するという形になります。
基本的には時間軸は見ませんので、辺の長さではなく、高さ同士の比較となります。
具体的なバットパターンの場合
バットパターンでは
XB0.382~0.5
AC0.382~0.886
BD1.618~2.618
ターゲットがXD0.886となっています。
もう少し詳しく書いてみると、次のルールとなります。
AX(A=0、X=1)に対して、ABの高さが0.382~0.5
BA(B=0,A=1)に対して、BCの高さが0.382~0.886
CB(C=0,B=1)に対して、CDの高さが1.618~2.618
という条件を満たす波形が検出されたとき、
AX(A=0、X=1)に対して、ADの高さが0.886になったら反発のタイミングである。
このようなパターンをいくつも検出して、そのタイミングでトレードを行うのがハーモニックパターントレーディングです。
値動きの頂点をつかむために世界中のハーモニックトレードファン達が日々波形を研究しています。
フィボナッチとの関連性
単純に統計を取ってしまうと、フィボナッチに従うことなどほとんどありませんが、時々波形が不自然に連続して0.618に集約する現象が発生したりします。
これは、相場の総意として0.618というフィボナッチを見てトレードしている状況で、普及しているインジケータによる不思議な状態がというのが発生していると考えています。
私はハーモニックは上記の状態を抽出するものと考えています。
つまり相場に外部から大きな力が発生していなくて、フィボナッチを見てトレードしている人が多いとき発生する波形形状を抽出するというものです。
そしてハーモニックそれ自体も、また、使用している人が多ければ多いほどそれに従うというインジケータになります。
そのため、ハーモニックには明確な得意な通貨が存在します。
次のチャートは2016年~2017年にかけての日足チャートです。チャート右側がいわゆるトランプラリーへと移っていた際の値動きとなります。トランプラリーではドル高の流れが中心でしたのでドル円もユーロドルも基本同じような動きになっています。
その際のハーモニック検知状況です。
■USDJPY D1 におけるハーモニック発生タイミング
■EURUSD D1 におけるハーモニック発生タイミング
見比べてみると、USDJPYはハーモニックが発生しても反発しているのは1か所のみ、確率的には1/3です。
それ以外は逃げる間もなく上がっています。
それに比べるとEURUSDは、ハーモニックが発生するたびに取り合えずの小反発を繰り返しています。
明らかに欧州系通貨の方が影響を受けています。
EURをベースにトレードする方にはハーモニックは意識すべきインジケータだと考えています。
同様に日本時間帯とEU時間帯でハーモニックによる影響が異なります。
ハーモニックにてトレードする方は上記の考え方を頭の片隅に入れてトレードしてみてください。
ハーモニックパターンとは、フィボナッチ数列を利用した波形のパターン
フィボナッチは高値と安値をつないだところに出す黄金比率のことをいい、反発して押し目戻し目になりやすいと言われております。
フィボナッチを利用してどこで反発するか予測できたらとても便利ですよね?
そこで便利なのがハーモニックパターンなのです。
ハーモニックパターンでは1波目ではなく3波目を狙います。
1波目よりも精度が高いからです。
WとMの波動の終わりを狙うイメージですね。
W・Mの波動を形成中の際、どこで反発するのかを予測するためにフィボナッチを引き、押し目戻し目を狙うのに使われます。
ハーモニックパターンのメリット
- 簡単に反発する地点の予測ができる
- 確度の高い相場のトレンド転換を狙える。
- 3波目を待つため他の根拠を探す時間もたっぷりとある
- ハーモニックパターンは頻出はしない
- 欧米のトレードではメジャーなので、高い勝率が望める
- 複数パターンの成立条件を覚える必要がある。
と言った特徴があります。
簡単に反発する地点の予測ができる
ハーモニックパターンでは、フィボナッチを引くだけで簡単に反発する地点の予測ができるため非常に便利です。
フィボナッチ以外の反発点の予測方法だと、レジスタンスライン、サポートラインを引いたり、値幅を合わせてみたりと大変です。
しかしハーモニックパターンは、フィボナッチを引いておくだけなので非常に簡単です。
例えば、現在オシレーター系のインジケーター(RSI・ストキャスティクスなど)を使い逆張りエントリーをしていた場合、エントリー根拠の1つにプラスすることができますね。
ラインや値幅はハードルが高い!
と思っている方でも簡単に取り入れることができるのが、ハーモニックパターンのメリットでしょう。
勝率が高い
ハーモニックパターンの最大のメリットとして勝率が高いという点があります。
今までフィボナッチを使っていたけれどなかなか勝てなかった・・という方は、1波目を狙っていった方が多いのではないでしょうか?
ハーモニックパターンでは、1波目でフィボナッチの位置で反発が確認できた後の3波目を狙ってく手法のため、エントリー回数こそ1波目狙いよりも少なくなってしまいますが、勝率は高くなります。
なぜなら、1波目でフィボナッチラインで反発されたということはそのラインが意識されていると考えられるからです。
もしフィボナッチを活用してトレードをしているのに思ったような結果が出せていないというのでしたら、ぜひハーモニックパターンを活用してみてください。
3波目を待つため他の根拠を探す時間もたっぷりとある
ハーモニックパターンではフィボナッチを引き、3波目をくるのを待つだけのためとても簡単な手法になります。
そのため他の根拠を探す時間をたっぷりとあるということです。
他の根拠とはRSIやストキャスティクスなどの簡単なものでもいいですし、前の波動の押し目戻し目を探してみたり、直近のローソク足を見てみたりと、他の相場分析に時間をかけることができます。
エントリーポイントは多ければ多いほど機能しやすいため、根拠はいくつも持っていた方がよいです。
ハーモニックパターンでエントリーポイントを待ちながら、直近の動きに注目しエントリー根拠を探すことができるのは大きなメリットですね。
ハーモニックパターンの基本はABCD
ABCDはハーモニックパターンの基本となるパターンで、いくつかの他ハーモニックパターンもABCDパターンに基づいています。
ABCDパターンは3つの価格の動きで構成される
AB線とCD線は「脚」と呼ばれ、BC線は調整またはリトレースメントと呼ばれます。 ABとCDの長さはほぼ同じです。
ブルABCDパターンは、下降トレンドに続き、上昇への反転する可能性が高いことを意味します。ベアABCDパターンは上昇トレンドの後に形成され、あるポイントで弱気の反転が起こる可能性があることを示します。ブルABCDパターンもベアABCDパターンもルールは同じです。
ABCDパターンは更に細かく分けると3の形に分類できます(以下の画像の3つのパターンはすべてブルです)。
一般的なABCDパターン(Classic ABCD)
C点はABの61.8%~78.6%(ABのフィボナッチリトレースメント使用:C点は61.8%に近いはずです)。D点は、BCのフィボナッチエクステンションの127.2%~161.8%になる必要があります。
AB = CDパターン
CDの長さはABの長さがほぼ同じで、A点→B点への移動時間はC点→D点への移動時間とも同じです。つまりABとCDの角度は同じになります。このABCDパターンは分かりやすく頻繁に見られるのでトレーダーの間で人気です。
理想的なAB=CDパターンは、ABに対するリトレースメントは0.618もしくは0.786 が望ましい、と述べられています。
ABCDエクステンション(Alternate ABCD)
CDがABの127.2%~161.8%のエクステンションである場合です(フィボナッチで強く意識されるポイント)。また、CDはABよりも2倍以上大きくなることもあります。CDはABより長くなりがちだと言われています。
CDがABの値幅よりも伸びずに値動きが終わってしまうパターンはAlternate(オルタネイト) ABCDパターンといいます。厳密にはABCDエクステンションもオルタネイトなんですが分けるために区別しました。
CDがABの値幅よりも伸びない時も、0.618倍と0.786倍のフィボナッチは非常に強く意識されるポイントなので値動きが荒くなりやすいです。
ハーモニックパターン手法の使い方について
ハーモニックパターンを利用したエントリー手法ですが、まずは直近の上昇下降にフィボナッチを引きましょう。
フィボナッチを引き、1波目でフィボナッチ38.6・50.0・68.2付近での反発が確認出来た後に、3波目で68.2・78.6・88.2・100.0・127.2での反発を待ち、反発が確認出来た時にエントリーという流れになります。
この時のポイントは、フィボナッチにタッチした時にエントリーするのではなく、反発が確認出来た時にエントリーするということです。
フィボナッチタッチした瞬間にエントリーだと少し早すぎます。そのままもう一つ上のフィボナッチまで行ってしまう可能性があるためです。
そのため必ず反発が確認出来た時にエントリーするようにしましょう。
写真だと127.2付近で陰線が出て反発していますよね?
タッチした瞬間ではなく、陰線が出て反発した時を狙うのがベストです。
ハーモニックパターン手法の利確(目標)ラインの設定について
ハーモニックパターンの利確ラインの設定ですが、同じフィボナッチラインで考えた方がいいです。
写真ですと127.2でエントリーしているため、利確ポイントは78.6・61.8・50.0・38.2のいずれかあたりが良いでしょう。
また2回に分けて利確ポイントを61.8・38.2のポジション持っておくのもおすすめですね。
いずれにせよ利確ポイントは、フィボナッチラインを目標にするのがよいです。
損切ポイントは
逆に損切ポイントはどのように設定すればよいのでしょうか。
ハーモニックパターン通りの波形をしなかった場合は、すぐに損切をしたいため150.0くらいに損切を入れておくことのがいいかと思います。
ハーモニックパターンを使いエントリーし含み損を出してしまってプラテンまでもっていこうと考え、いつまでもポジションを持っているのはおすすめしません。
そんなことをしてしまっていてはいつか破産してしまいます。
シナリオ通りの動きをしなかった場合は、すぐに損切できるようにしておきましょう^^
ハーモニックパターン手法の勝率をアップさせるには?
ハーモニックパターンを使う際のフィボナッチは小さな波動で引くのではなくて、大きな波動でのエントリーがよいです。
①②どちらもフィボナッチですが、①のフィボナッチラインの方がラインとしては意識されやすいです。
だれが見ても明確な上昇波に対するフィボナッチを引き、それに対してのハーモニックパターンを適応させていくのがおすすめです。
②のように小さすぎる波動だとラインとして意識されにくいため、勝率は下がってしまいます。
そのため①のような大きな波動にフィボナッチを引くようにしましょう。
レジスタンスライン・サポートラインを引くことで勝率アップ!
レジスタンスライン・サポートラインを引くことでさらに意識される場所がわかります。
先ほども意識されやすいと説明したフィボナッチですが、前にさかのぼると61.8ライン付近でサポートラインになっているラインがあります。
フィボナッチ+レジサポラインがある場合は意識されている可能性が非常に高く、反発する可能性が高いです。
このようにフィボナッチだけではなくレジスタンスライン・サポートラインを引いて意識されているポイントを探すのは非常におすすめです。
FXトレードにおけるハーモニックパターン手法に関するまとめ
- ハーモニックパターンとはフィボナッチ数列を利用した波形のパターンのこと
- フィボナッチ23.8・38.2・50.0・68.2・78.6・88.2・100.0・127.2・168.2が反発ポイントになる
- ハーモニックパターンではフィボナッチの3波目の反発を狙うため勝率が高い
- 利確損切ポイントもフィボナッチを目安にするとよい
- 勝率を上げるには大きな波動のフィボナッチを引く、レジサポラインを組み合わせるのがおすすめ